大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第114回「1ゴール8億5000万円は高いか安いか」(1)プロ野球界のスーパースターを凌駕した「20万ドルの足」の画像
1964年の東京オリンピック後、日本を驚きが覆った 撮影/サッカー批評編集部

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは夏がくれば盛んになる「あれ」。

■7月に開く移籍市場

 7月を迎えると欧州の「移籍ウインドー」が開く。すでにさまざまな予想やうわさや無責任な観測が飛び交っているが、日本円にして100億円を超える移籍金が続々と出るのではないかと言われている。J1クラブの平均年間収益の倍である。これを1人の選手と契約するためだけに使うのである。もちろん、その選手に支払う年俸は別である。

 まあ、100億円といっても、「円安」も極まったかのように見える今日、世界の通貨に換算すればそう大したことはないようにも思える。1円が約142円の米ドルなら約7000万ドル。155円のユーロなら約6500万ユーロ、そして182円の英ポンドなら約5500万ポンドといった程度(!)だ。

 今夏の「マーケット」が開く前の移籍金世界最高記録は、2017年にネイマール(ブラジル)がスペインのFCバルセロナからフランスパリ・サンジェルマンに移ったときの2億2200万ユーロである。これはすごい! 当時の1ユーロはおよそ128円だったから、日本円にすると約284億1600万円である。

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