■ユース世代を前座試合に

 ユース年代の選手たちには、プレミアリーグ(あるいはプリンスリーグ)という年間を通して戦う場が設けられている。もちろん、U-18年代のチームなのだから、これらのリーグの目的は育成である。

 だが、同時によりコンペティティブな環境を与えることも考えるべきではないだろうか?

 たとえば、プレミアリーグの試合をトップチーム同士が戦うJ1リーグの前座試合として開催するのはどうだろうか? そうすれば、ユース年代の選手たちが1万人、2万人といった観衆の前で、サポーター同士の声援を受けながら戦うことができる。

 そうすれば、若い選手たちも多くの観客の前で戦う経験ができるし、練習場のようなグラウンドでのプレーと違ってより勝負にこだわる姿勢を身に着けることができる。

 昔アルゼンチンを取材に行ったときに、ボカ・ジュニアーズとリーベルプレートの試合の前に、両クラブのユース年代(三軍)同士の試合が行われているのを見たことがある。

「ボンボネーラ」には4万人ほどの観客が入っており、両クラブのサポーターたちも、ユースの選手たちに対して、トップチームと同じような熱量の声援やブーイングを送っていた(その週末には、他のさらに若い年代のチームでも、ボカとリーベルの試合が行われるそうだ)。

 日本のユース年代の選手たちは、少なくともアジアの中ではテクニックや戦術能力は最高のレベルにある。だが、勝負にこだわる姿勢とか、ゲームの流れを読む力に欠ける。それが、このところのいくつかの大会で日本の年代別代表チームが苦戦を強いられている原因だ。

 プレー環境を変えて勝負にこだわった試合の機会を増やし、プレッシャーの中で戦う経験を積ますこと。そのために、僕が提案していのが「ユース年代の試合をトップチームの前座として開催すること」あるいは「J3リーグやJFLといった下部リーグへの期限付き移籍の活用」なのである。

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