名古屋グランパス・アカデミー育ちの吉田には前々から古巣復帰待望論がある。クラブとの関係は良好で、先輩・本田圭佑も「いずれ麻也は戻ってくるんで」と前向きに話していたほどだ。
ただ、今の名古屋の陣容を見ると、丸山祐市、中谷進之介、野上結貴、藤井陽也とJ屈指のDF陣が揃っていて、わざわざ吉田を獲得する必要がないように映る。3月の日本代表2連戦に初招集された若手のホープ・藤井に今夏、海外移籍の話でも浮上すれば別だが、現状を見る限りだとそう簡単ではなさそうだ。
大迫勇也、武藤嘉紀ら日本代表経験者を続々と呼び戻しているヴィッセル神戸などはDF陣が手薄で、吉田は喉から手が出るほどほしい人材だろう。しかし、名古屋以外のクラブに行くというのは本人の心情的に難しそう。大迫ら他の代表経験者たちと同じルートを辿るのも、プライドが許さないだろう。
となると、欧州で5大リーグ以外の新天地を見出すか、中東など他国に行くかという選択になるが、いずれにしても年齢的なハードルは高い。40歳の川島永嗣(ストラスブール)、39歳の長谷部誠(フランクフルト)のように30代後半でも欧州挑戦を続けられるのはほんの一握り。長谷部に絶対的信頼を寄せるフランクフルトのようなクラブが吉田にあればいいが、現実はやや厳しいようだ。
今夏の去就は今後の日本代表復帰も左右しそうだ。カタールW杯で代表キャリアに区切りをつけると見られていた吉田だが、今のところは代表引退を明言してはいない。
「まだ考えてますけど、どうなるか分かんないよ。監督に決めてもらおうよ。俺が決めるより監督に決めてもらったらいいんじゃない。(自分が必要かどうかは)本当に監督次第。現時点で見るのか、4年後を見るのか、1年後見るのかで変わってくるからね」と、2月時点の吉田は森保一監督の意向が全てという見方をしていた。