■突然の変更

 ところが、ヨーロッパ予選でイスラエルが準優勝して出場権を獲得したことでインドネシア国内で「開催反対」の声が出てきたのだ。

 イスラム教徒が多いインドネシアでは親パレスチナ=反イスラエル感情が強く、しかも来年2月に大統領選挙を控えているため、政治家もこうした世論に敏感に反応したのだ。

 たとえば、与党「闘争民主党」の大統領候補となったガンジャル・プラノヴォ中部ジャワ州知事も、いち早くイスラエルが参加する大会の開催反対を唱えた指導者の一人だった。そうなると、反対派候補も「開催支持」を主張することができなくなってしまう。それが、選挙というものだ(ただし、ガンジャル知事は大会開催に反対したことでサッカー界から批判を受け、支持率も下がったと伝えられている)。

 いずれにしても、インドネシア開催が難しいと考えたFIFAはインドネシア開催中止を決定した。それが、3月29日のことだった。

 しかし、同時にFIFAは開催地は変更しても5月20日からという日程は変更しないとも発表したのだ。各国のクラブで活躍している選手が出場する大会であり、またスポンサーとの関係もあって、この時点でスケジュールを変更するわけにはいかなかったのだろう。

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