■相手チームへの「ホーム感」

 大会開催まで2か月もない状況で「代替開催に手を挙げる国があるのだろうか?」と思われたが、すぐにアルゼンチンが立候補を表明。他にも開催に興味を示した国はあったというが、正式に開催の意思を示したのはアルゼンチンだけで、4月18日には正式にアルゼンチン開催決定が発表された。

 これによって南米各国が有利になったことは間違いない。

 2014年のブラジル・ワールドカップでは、出場した南米の5か国はすべてグループリーグを勝ち抜いた(逆に、地理的に遠いアジア勢は2014年大会では“全滅”だった)。

 今回のU-20ワールドカップでも、南米勢優位は間違いないだろう。

 また、ヨーロッパ勢も、インドネシアの蒸し暑い気候の中での戦いを避けることができる。5月から6月にかけてのアルゼンチンは晩秋から初冬に当たる。そんな冷涼な環境ならヨーロッパ勢も力を発揮しやすくなるだろう。

 日本がグループリーグ最終戦で対戦するイスラエルは、世界大会に出てくることがほとんどないので「未知のチーム」だが、ヨーロッパ予選(UEFA U-19選手権=2022年6、7月開催)で決勝に進出して、延長の末イングランドに敗れて準優勝したチームなのだから実力は高いのだろう。

 かつて、イスラエルはAFCに属しており、その当時はアジア最強国の一つだった。日本代表もワールドカップ予選で敗れているし、日本開催だった1965年と1971年のアジアユース選手権大会(現、U-20アジアカップ)では2度ともイスラエルが優勝しており、イスラエルは1970年のメキシコ・ワールドカップにもアジア代表として出場し、スウェーデン、イタリアと引き分けている。

 その後、アラブ諸国との対立のためにUEFAに転籍したため世界大会に出てくることはほとんどなくなったが、ヨーロッパ諸国との対戦を通じて強化されていることは間違いないだろう。さらに、アルゼンチンにはユダヤ系移民も多いだけに、ホーム感を持って戦えるはずだ。

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