■単なる１勝以上の価値
黒田剛監督によれば前日の練習で守備の際の寄せが足りなかったので、朝のミーティングで「ボールを奪いに行こう」という意識を共有させていたとのことだ。それも効を奏したのだろう。
町田の選手たちが「高い位置でのプレッシングでボールを奪う感覚」を覚えたとすれば、町田にとってこれからチーム力をさらに上げて、チームの幅を広げていくための一つのきっかけとなりうる。そうだとすれば、大分戦というのは町田にとって単なる１勝以上の大きな意味がある試合だったということになる。
こうして、町田の守備に完全にはめられてしまった大分。下平隆宏監督は「自分たちのやり方を変えたくはなかった」としながらも、ハーフタイムで相手のプレッシングをかわすために「即興だった」というフォーバック（４－３－３）に変更せざるをえなくなったのだ。
システム変更によって目先を変えることで、後半は町田のプレッシングを回避して１点を返すことができたものの、大分の追撃はここまで。その後は、町田が割り切って守備に徹して悠々と逃げ切った。
町田のカウンタープレッシングが効果的で、ポゼッション志向の大分を完全に上回った一戦だった。
