■絞りやすかった「狙いどころ」

 結果的にあのセットプレーがすべてを変えてしまったのだが、先制ゴールの前から町田はすでに試合をコントロールしていた。実際、あのCKも大分が中盤でつなごうとしてボールを高江がカットした場面から生まれた決定機の流れで導かれたものだった。

 ゲームの入り方としてはむしろ大分の方が上回ったかのように思えた。だが、20分を過ぎるころには町田の最前線に入った荒木が相手DFを追いまわし、そこで乱れたパスをカットしたり、大分のパスコースを読み切って奪って町田が優位に立っていたのだ。

 大分はスリーバック。システム図で書けば3-4-3なのだが、いわゆるウィングバック(右が茂平、左が藤本一輝)は攻撃の場面では最前線まで進出し、ウィンガーとしてプレー。一方、インサイドハーフの位置にいる中川寛斗野村直輝はシャドーストライカーというよりもセントラルMFとしてプレーした。この2人がボランチの2人(弓場将輝と野嶽惇也)とともに4人のボックスを作り、ここでボールを回しながら両ウィンガーを使う形だ。

 その中盤の4人がボールを回そうとするところに町田は狙いを定めてボールを奪いに行った。相手のやり方が明確なだけに、“狙いどころ”も絞りやすかったのだろう。

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