「元日・国立」だけでは意味がない観客動員への努力【世界へ通じる育成システム「大学サッカー」大改革論】(1)の画像
元日に国立競技場でサッカーの試合が行われていたことを、どれほどの人が知っているだろうか

 2023年の日本サッカーがスタートしている。元日恒例の天皇杯決勝はなかったが、大学サッカーの決勝が行われた。大学サッカーは、世界でも希有な日本の重要な選手育成システムにもなっている。その日本サッカー成長の「鍵」について、サッカージャーナリスト・後藤健生が大改革論を訴える。

■「観客動員」の噂

 2023年の1月1日には、元日恒例の天皇杯全日本選手権大会決勝戦は開催されなかった。

 2022年11月にカタールでワールドカップが開かれたため、天皇杯決勝は10月16日に前倒しして行われ、J2リーグのヴァンフォーレ甲府サンフレッチェ広島を破って優勝した(ワールドカップの喧噪を経て、今でははるか遠い昔のように感じる)。

 そして、その代わりに(?)1月1日の東京・国立競技場では全日本大学選手権(インカレ)の決勝が行われたのだが、皆さんはご存じだっただろうか?

 この試合については、「観客動員がかけられた」と噂されている。

 最近は、天皇杯決勝が元日に開催されないことが多い。

 2018年度の決勝戦は翌2019年1月にアジアカップが開催されることになっていたので12月中に開催された(さらに、鹿島アントラーズACLで優勝して世界クラブ選手権に出場することになったために日程はさらに前倒しされ、12月9日が決勝戦だった)。また、2021年度の決勝戦はワールドカップ予選の日程の関係で12月19日に開催されて浦和レッズ槙野智章の決勝ゴールで大分トリニータを破って優勝した。そして、昨年は初めての10月の決勝戦となったのだ。

 さらに、2023年度のアジアカップがカタール開催となり、同年12月あるいは2024年の1月に開催される可能性が高くなっため、天皇杯の決勝はまたも元日開催ができないかもしれないのだ。

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