■蚊帳の外の一般ファン
“元日開催”は決勝進出チームのシーズンオフ入りが遅くなるとか、次シーズンに向けての選手との契約がすでに進んだ中での試合となってしまうなど、さまざまな弊害も指摘されている。そろそろ、“元日開催”の是非について、しっかり論議した方がいい時期なのだろう。
だが、日本サッカー協会は(少なくとも田嶋幸三会長は)「元日サッカー」として日本のスポーツ界で一つの風物詩として定着している天皇杯決勝の元日開催をこれからも継続したい意向のようであり、そのためにも2023年の元日に開かれることになった大学選手権決勝に多くの観客を集めてその“伝統”が途切れないようにしたかったようだ。
こうして、「動員」がかけられた結果、元日の国立競技場には1万2481人の観客が集まった。
Jリーグや天皇杯などに比べれば「わずか1万人」といった数字なのだが、大学サッカーとしてはたしかに大観衆だった。
たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる直前の2019年12月22日に浦和駒場スタジアムで行われた全日本大学選手権決勝(明治大学対桐蔭横浜大学)に集まった観客は6084人だったから、2023年元日国立開催の試合はそのほぼ2倍だったわけだ。
しかし、一般のサッカー・ファンの中には元日にこの試合があったことを知らない方も多かったのではないだろうか?
それは「観客動員」は大学連盟の中(だけ)で行われたからだ。一般のファンに広く告知して観客を動員するのではなく、大学のサッカー関係者を動員したのである。