■戦力ならば横浜FMが上

 今シーズン、戦力を比べてみたら「横浜F・マリノスの方がかなり上」と言わざるを得ない。若手の成長で横浜FMは選手層の厚さでも川崎を上回りつつある。

 そんな中で、勝点差を広げられた時期もあったものの、それでもしぶとく勝点を拾って2位の座をキープし、最終節を前に勝点差を2ポイントまで詰めてきたのは川崎の粘り強さのおかげとしか言いようがない。

 勝負にかける執念。優勝したいという気持ちの強さ。これは、やはり優勝を経験したことのあるチームならではのものなのだろう。「優勝決定」を目前にしてメンタル的に崩れてガンバ大阪ジュビロ磐田相手に連敗してしまった横浜FMの脆さに比べると、川崎のメンタル面での強さは際立っている。

 1対1の同点とされた神戸戦でも、川崎はけっして諦めることなく、同時に慌てることもなく、攻撃の圧力を強め、70分以降は圧倒的に押し込んで攻撃を繰り返し、その結果としてVARによる判定という形ではあってもPKを獲得することに結びついたのだ。

 家長によるペナルティーキック自体も、神戸のGK坪井湧也にうまく反応されてしまったのだが、そのGKの手を弾いて辛うじてゴールに入るというものだった。このあたりも、得点力に苦しみながらも、粘り強く勝点を拾い続けている今シーズンの川崎を象徴するようなシーンだった。

(3)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3