今シーズンのＪ１も、最終節を残すだけとなった。優勝は、現在首位に立つ横浜Ｆ・マリノスと、勝点２差で追う川崎フロンターレに絞られている。３連覇を狙う川崎は、逆転優勝することが可能なのか。今季の川崎の優勝を予想していたサッカージャーナリスト・後藤健生が、その可能性を探る。
■選手たちの意識の変化
これだけ優勝を重ねていれば、当然、Ｊ１リーグの各チームも「川崎対策」は考えてくる。
ボールをつながれても、そこは割り切って、川崎にボールを持たせる。そして、下手に奪いに行ってスペースを作らせることのないようにする。それが基本だ。そして、中央を固めてシュートを打たせない。
レアンドロ・ダミアンが今シーズンは不調で、シーズン終盤には故障で離脱してしまったこともあって、ボールを握って攻撃を仕掛ける割に、それが得点に結びつかないのだ。三笘薫のドリブルという“飛び道具”的な武器も失われた。
そして、なかなか点が取れないということは選手たち自身も不安に思い始める。昨シーズンまでだったら「攻めれば得点が生まれる」という自信があるから、先制ゴールを奪ったら、すぐに２点目、３点目を奪って勝負を決めてしまおうという意識が強く働いた。
だが、今シーズンは「自分たちが思ったようにゴールを割れない」という意識があるから、気持ちのどこかに「ゲームをコントロールすべきではないか」という意識が生まれてきてしまう。そのような展開になって同点ゴールを許して勝点を失った後、鬼木監督は選手たちの意識の変化について反省の弁を述べる。実際、１点をリードした後にももちろん攻撃は仕掛け続けているのだが、何か攻撃の迫力が足りない印象が強いのだ。
