■自分の辛さより周囲を思いやる漢気
柏レイソルでプロとしての歩みを始め、計5つのクラブでプレーしてきた。どんな時でも男前で、その「漢ぶり」はこの引退スピーチでも変わらない。
プロ選手ではなくなるという、辛い宣言の最中でも、35歳のDFは周囲の人を思いやる漢気を忘れなかった。
「悩みを抱えている方や、一歩踏み出せず不安を抱えている方たちには、僕も来年ゼロからのスタートになるので、一緒にチャレンジしようという言葉をかけたいと思います」
渡部は、やはり男前だった。
最後に家族への感謝を口にする時には、さすがに声が震えた。それでも、場内からの拍手に背を押されると、「13年間、本当にありがとうございました」と美しい涙を流しながらスピーチを終えた。
Jリーグがツイッター公式アカウントで動画を公開すると、感動の声が続いた。
「すっごい心に刺さるいいスピーチ、いい引退セレモニーでした」
「最後まで勇気をいただきました」
「この挨拶は泣ける さぁ明日からチャレンジや」
「プロサッカー選手はヒーローだよ。夢も希望も、諦めそうなときに奮起する言葉も姿も見せてくれる」
渡部の思いは、しっかりと届き、受け継がれていく。