■勝負を決めたのは在籍20年目のレジェンド
10月16日、ヴァンフォーレ甲府とサンフレッチェ広島による第102回天皇杯の決勝が日産スタジアムにて行われた。
J2リーグの甲府は、ここまでJ1クラブ相手を次々に撃破し、鹿島アントラーズとの準決勝に勝利してファイナルまでやってきた。勝てばクラブ初の天皇杯優勝、そしてJ2クラブとしては2011年度のFC東京以来、2度目の快挙達成となる。
スコアは前半26分に動いた。甲府が左CKを獲得すると、ショートコーナーの流れから荒木翔がペナルティエリア左に抜けてボールを受ける。その荒木からパスを引き出した三平和司がニアサイドで合わせてネットを揺らした。
一方の広島は、0-1で折り返した後半、ボールを握るも甲府の固い守りを前に攻めあぐねる展開が続く。それでも後半39分、エゼキエウからのパスを受けた川村拓夢が、エリア左から左足一閃。GK河田晃兵の手を弾く強烈な一撃を突き刺し、試合を振り出しに戻した。
ゲームは90分で決着つかず。すると延長後半10分、途中投入の甲府DF山本英臣がエリア内でハンドを取られてPK献上。絶体絶命のピンチを迎えた。しかし、GK河田がコースを読んでスーパーセーブ。結局120分で勝敗はつかないまま、試合はPK戦に突入した。
両チームの選手が次々に成功させていく中、甲府は、GK河田が広島4人目の川村のキックをセーブ。そのあとPK戦のスコアは4-4になり、これを決めたら優勝という場面で甲府5人目として出てきたのは山本だった。ボールをセットした背番号4は、比較的ゆったりとした助走から右足を振り抜くと、放たれたボールは枠の左上へ一直線。ネットが揺れる音とともに甲府サポーターが歓喜の声を挙げ、主審が笛を吹く。
これにて試合終了。甲府がまたしても“下剋上”を巻き起こし、クラブ初の天皇杯制覇を成し遂げた。