■圧倒的な「個」の力

 スマートとは言えないが力強いランニングであっという間にトップスピードに乗り、マークする相手を振りちぎる。つかんで止めようと思っても、猛牛のような突進を止めることなどできない。左利きで強烈な左足シュートの持ち主ではあるが、右足でもヘディングでもゴールを決める。

 大きな体に似合わず繊細なテクニックをもち、ボールを扱う技術も非常に高い。いったんボールを受けたら簡単に失うことはない。体をぶつけられてもしっかりと入れてボールを守り、逆に相手を吹き飛ばす。

 最前線に張ってゴールを背にボールを受け、味方に絶妙なアシストをするとともに、ときに中盤深く引いてパスを受け、組み立てに参加する。さらに、相手ボールになった瞬間には「凶暴」とまで言いたくなるような守備で相手からボールを奪い返し、あっという間にチャンスをつくる。圧倒的な「個」の力をもちつつ、チームプレーヤーとして最高度の貢献をし、味方と息を合わせてグループでプレーすることもできる。まさに現代的なスーパースターである。

 「トレードマーク」がジャンピングボレーだ。左からのクロスに対してジャンプしながら高く左足を上げ、アウトサイドでとらえてコントロールされたシュートをゴールに送り込むプレーはダイナミックそのものだ。アクロバチックなこのゴールは、彼が「僕のアイドル」と言う人口1000万人のスウェーデンが生んだ異色のストライカー、ズラタン・イブラヒモヴィッチを思い起こさせる。

 マンチェスター・シティに移籍直後はプレミアリーグのスピードとハードな当たりに通用するのかと疑問視する人もいたが、「ゴール」というこれ以上ない形で自分自身がプレミアリーグ最高のストライカーであることを証明した。デビューのウェストハム戦で2点を挙げて2-0の勝利に貢献、8月から9月にかけては、「3試合連続ハットトリック」という離れ業を見せた。その3戦目の相手はマンチェスター・ユナイテッド。シティにとって永遠のライバルである「赤い悪魔」を相手に6-3という歴史的大勝のなか、ハーランドは3得点2アシストという破天荒な活躍を見せるのである。

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