日本の指導理念そのものが問われている「世界を圧倒する個」の育成【アーリング・ハーランド:なぜ小国でスーパースターが生まれたのか】(2)の画像
ハーランドのような選手は日本からも生まれるか 写真:ロイター/アフロ
 世界中に広がっているサッカーだが、強さはさまざまだ。どのような要素が、代表チーム、あるいは選手のレベルを変えていくのか。アーリング・ハーランドという新時代のスターを素材として、サッカージャーナリスト・大住良之が切り込む。

■親戚で代表チームを席巻?

 フルネームはアーリング・ブラウト・ハーランド。「ブラウト」は母の姓である。長身のプロサッカー選手だった父だけでなく、母グリ・マリタ・ブラウトも、ブリン出身の有名なアスリートだった。1990年代に陸上競技の七種競技でノルウェー・チャンピオンとなったのだが、彼女自身の母親もやはり有名なアスリートで、グリの兄は有名なサッカー選手だったという。

 母グリ・マリタ・ブラウトには、兄のほかに2人の姉妹がいた。非常に興味深いことに、「ブラウト三姉妹」は、そろって近い年代の息子をもち、3人の従兄弟はいずれもプロサッカー選手、しかも将来有望な(ハーランドはすでに世界のスーパースターになっているが)ストライカーだという。

 従兄弟のひとり、ハーランドよりわずか2週間誕生日が遅い22歳のジョナタン・ブラウト・ブルンズは現在ノルウェーの1部のストレームスゴトセトでエースとして活躍している。そしてまだ18歳のアルベルト・ブラウト・ティアーランドは4部のブリン・リザーブでプレーしている。2人とも典型的な「9番(センターフォワード)」タイプで、ともに高い得点力でチームを牽引している。近い将来に「ブラウト家従兄弟トリオ」がノルウェー代表のFWとして活躍する可能性もあるのではないか言われているのだ。

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