■重要な強豪相手の試合経験

 11人制のサッカーでも、かつてブラジルはどうしても勝てない相手であり続けた。

 大差の試合はそれほどないのだが、それはブラジルが2点、3点を奪うと、それ以上は無理をせずにそのままゲームをコントロールして試合を終わらせてしまうことが多かったからだ。2017年、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代にフランスのランスで行われた試合は槙野智章が1点を返して1対3で終了したが、前半の早い時間に3点を奪ったブラジルはその後はまったく無理をしなかった(松江でのフットサルの親善試合とよく似ていた)。

 だが、2022年6月に国立競技場で行われた試合では、日本はブラジルを苦しめることに成功した。

 攻撃はほとんど通用せず、決定機も作れなかったが、守備の部分ではブラジルの速い攻撃に十分に対応できたし、中盤での組み立てでも対抗できるところまでは強化が進んだことが明らかになった。

 Jリーグ発足から30年。その前の時代から若手の育成に力を入れてきた日本のサッカーは、次第に個人能力の高い選手を増やし、最近になると若い選手たちが次々とヨーロッパのクラブに渡って「個の力」を高める努力を続けた。そのようにして、個人能力を高めてきた結果としてブラジルとの差が少しずつではあっても詰まってきているのだ。

 フットサルの世界でも、将来本気でブラジルに勝つことを目標にするなら、若い選手を育てる地道な努力を続けるしかないだろう。

 Fリーグの存在は代表強化のために大いに役立っているが、観客動員など人気拡大は思うように進んでいない。代表のゲームやFリーグを通じてフットサルというスポーツの魅力を発信し、多くの少年たちがフットサルをプレーするようにならなくては、強化にもつながらないだろう。

 現段階では、日本がブラジル相手に真っ向勝負を挑んで勝利することは不可能に近い。しかし、もちろん対戦する以上は勝ちを追求して戦わなくてはならない。

 そして、現段階でブラジル相手に勝ちに行くとすれば、やはりワールドカップで対戦した時のように全員がブラジルの選手に食らいついて相手に自由を与えないような戦いを挑むしかないだろう。

 松江での試合では、それがまったくできなかったのだ。

 だが、その経験を生かすことができたのか、松江での試合から3日後に愛知県豊田市で行われた2戦目は第1戦と同じ1対5というスコアだったものの、守備の意識を徹底してブラジルの選手をしっかりマークしたことによって、0対1のスコアでハーフタイムを迎え、30分まで「1点差」を維持できたのだ。

 ブラジルとの2試合目までにこれだけ改善できたことを見ても、やはり強豪相手の試合経験というのが大事だということが分かる。

 まずは、アジアカップでの3大会ぶりの優勝を成し遂げてほしいし、そして、その後も積極的に強化試合を重ねていってほしいものである。

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