■次は中2日でアウェー清水戦を控えている
完敗を喫した山口監督はこの試合を「何もないゲーム」と評した。「川崎戦とは全く違い、自分たちの意思がなかった」(中野嘉大)という内容に指揮官は「選手のマインド、姿勢、考え方がすごく気になった」「“残念”という一言だけ」としている。そこに川崎戦で得た手応えは全くなかった。
今後の指針となるはずだったはずの、自信がついたはずの試合の直後にやってきた最悪の敗戦は、ドロドロの残留争いになることを嫌でも感じさせるが、湘南はここから蘇ることができるだろうか。
湘南のユニフォームは、エンブレムの下に文字がある。『たのしめてるか。』というその言葉は、2015年にクラブ全体のスローガンとして生まれた。
これは単なるEnjoying?ではない。競技スポーツにおいてそれは「没頭や無心」(当時の新体制発表会での説明)という意味を持っている。
奇しくもこの日、勝利したマリノスのケヴィン・マスカット監督がこう語っていた。
「メンタリティーはフィジカルと同様に大事な要素だ。重要なのは、どれだけ信じて継続できるかだ。日々の練習で常にこのサッカーを強く信じる気持ちを持ってやれるのか、だ」
その信じる力は「自分たちは好きなことを仕事にすることができている、という喜び」から生まれるという。
我を忘れるほど強くやるべきプレーに没頭できているか、が揺らいだら、サッカーが好き、という原点に立ち返ればいい。どんなに苦しい時でも、それは信じる原動力になり、途切れかけた継続を繋ぎとめてくれる。後悔に打ちのめされてうつむいても、そこにある『たのしめてるか。』の文字が導いてくれる。
次は中2日でアウェー清水戦だ。下を向く選手たちに、サポーターはブーイングではなくベルマーレコールを送った。「ひとりひとりの考え方や気持ちの部分で変えられると思う。2日あれば十分」山田直輝はそう言って前を向いた。残留を争う相手との直接対決、気持ちで負けるわけにはいかない。
■試合結果
横浜F・マリノス 3―0 湘南ベルマーレ
■得点
56分 西村拓真(マリノス)
70分 アンデルソン・ロペス(マリノス)
89分 ヤン・マテウス(マリノス)