■前半だけで打ち切られたゲーム
実は、前半の途中からバックスタンド後方に稲光が見えていたのだ。また、メインスタンド後方にも大きな雷雲が存在した。
前橋市は前日にも夕方から夜にかけて激しい雷雨に見舞われていた。
ハーフタイムには北からの雨雲がスタジアムに近づき、激しい雨も落ちてきた。場内には「落雷の恐れがあるので後半開始を見合わせる」とのアナウンスがあり、スタンド前方に陣取った一般観客にも関係者や報道陣向けに区切られたメインスタンドの屋根下の座席に移るように案内もあった。
そして、ハーフタイムに入って50分ほどが経過し、とうとう試合の中止が告げられた。
こうしたケースでは、前半にどちらかのチームがリードしていれば、そのチームの勝利となるはずだった。だが、アディショナルタイムに柏が追いついて2対2の同点となっていたため抽選が行われ、横浜FMの決勝進出が決まり、メインスタンド下のスペースで柏に対する3位の表彰が行われた。
前半をリードされていて負けを通告されたのならまだしも、いきなりの2点ビハインドの状況からチームを立て直し、そして前半のうちに同点として「さあ、後半に逆転」と意気込んでいたはずの柏の選手たちにとってはショッキングな抽選負けだった。
表彰式の後、柏の西村龍留キャプテンはユース・サッカー専門記者たちに取り囲まれて執拗な質問攻めに対して気丈に答えていたが、その表情には悔しさがにじみ出ていた(プロの試合だったら、適当なタイミングで広報担当者が出てきて「では、そろそろ」と質問を遮ってくれただろうに……)。
いずれにしても、異例の展開となった準決勝を終えて、8月3日の決勝では横浜F・マリノスユースがセレッソ大阪U-18と対戦することが決まった。