■天皇杯で川崎Fを衝撃の零封! 東京Vに変化の兆しが

 城福浩監督が就任した東京ヴェルディに、変化の兆しがうかがえる。

 堀孝史前監督の指揮下では、得点も失点も多かった。しかし、新監督の初陣となった6月18日のレノファ山口FC戦は、3対0のクリーンシートを達成した。無失点は8節の大分トリニータ戦以来、実に14試合ぶりだった。

 22日に開催された天皇杯3回戦でも、東京Vはクリーンシートを成し遂げる。しかも、J1の川崎フロンターレをシャットアウトしたのだ。

 前線から意欲的にプレスをかけていき、後方からビルドアップを試みた。プレスを剥がされることも、ビルドアップを阻害されることもあったが、最後までハードワークを続けていった。FW佐藤凌我が決めたスーパーミドルを守り切っての勝利ではなく、アグレッシブに試合を進めたうえでの「ウノゼロ」である。

 試合後の城福監督も、チームの戦いぶりを評価した。

「自分たちが取り組もうとしているもの、その手ごたえがほしいという意味では、腰が引けるような試合だけはしたくなかった。そのなか、今日のように勝って反省できれば一番良いと思っていたので、(監督に就任してから)短い時間ですけど、やろうとすることを選手は90分具現化してくれたと思います。

 GKマテウスのビッグセーブ、あるいは選手が守備でよく戻ったところも含めて、自分たちがラインをギリギリまで上げること、そこから戻すところは、短い時間でもよく体現してくれたと思います」

 現時点で戦術に大きな変化はない。違いがあるとすれば、選手起用だ。川崎F戦では、リーグ戦のプレータイムがひとケタの佐古真礼と西谷亮、それに出場4試合の宮本優が先発に名を連ねた。佐古は19歳、西谷は18歳、宮本は23歳だ。

 城福監督は「パリ五輪組(U-21日本代表の馬場晴也山本理仁)もいなかったので」としながらも、「年齢では決めていません。ピッチ上のパフォーマンスで決めている。ピッチ上で、練習場で、示した選手が出ていく」とのスタンスを強調した。

 週末のJ2リーグ23節は、アウェイでのジェフユナイテッド千葉戦だ。ケガ人が多いなかで6戦負けなし(3勝3分)と踏ん張っている相手を、攻略できるのか。

 61歳の指揮官は「我々は後半戦、まだリーグ戦は1試合しかしていない。何もあきらめていないという姿勢を見せるためには、次の試合を落とすわけにはいかない。川崎F戦のパフォーマンスを週末の千葉戦でも維持したい」と語る。

 勝点29の東京Vと勝点31の千葉の激突も、J1参入プレーオフの行方に関わってくる6ポイントマッチと言っていいだろう。

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