後藤「山根は内にも外にも走るよ。守備力はどうかという見方もあるけど、攻撃だけを考えたら、山根は良かったよね。ブラジル戦でも、右サイドバックに入った長友佑都が深くまで行ってクロスを上げた場面が、一番のチャンスだった」

■日本の攻撃の問題点

――ワールドカップでは、スペインやドイツ相手にもリスクを冒して攻めに出ないといけませんね。

後藤「個人のドリブルでは通用しないと、ブラジルがはっきり示してくれたわけだからね。ＣＦひとりでどうにかできるわけではないことも、分かっちゃったしね」

大住「個人のドリブルに頼って、今日は伊東が、今回は三笘が抜け出せましたという話をしても、次の試合で通用しなかったらお手上げなんだよね。そうじゃなくて、もっと選手が次々湧いて出てくるようなコンビネーションを見せつけられるようにしないと。攻撃に関しては、この４試合で納得できるようなものは見当たらなかった」

後藤「サイドバックだけじゃなくて、２列目、３列目の選手が、もっと中へ入って絡まないと。中盤の３人も、田中がパラグアイ戦で決めたように、ミドルシュートを狙っていい」

（4）へ続く
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大住良之

おおすみよしゆき

大住良之

1951年神奈川県横須賀市生まれ。中学1年生のときに校内誌の編集部にはいり、中学３年からはかけもちでサッカー部でも活動。大学卒業４年生の1973年から『サッカー・マガジン』編集部で働き、1982年以降はトヨタカップなどのチーム取材で欧州と南米の強豪クラブを取材。1988年にフリーランスとなる。以後は日本代表とＪリーグの取材が中心となるが、ワールドカップは1974年ドイツ大会から、オリンピックは1996年から取材。『東京新聞』や「日経電子版」などコラムを書く一方、1984年以来東京の女子サッカークラブ「ＦＣ　ＰＡＦ」の監督を務める。ＪＦＡ公認Ｃ級コーチ、サッカー４級審判員。

後藤健生

ごとうたけお

後藤健生

１９５２年東京生まれ。１９６４年１０月に東京五輪で初めてサッカーを観戦（ハンガリー対モロッコ）。以後、「日本サッカー冬の時代」にも飽きもせずにサッカーを見続けてきた。１９７４年、初めてＷ杯を現地生観戦。ベッケンバウアーとクライフの対決を見届ける。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の９０年』（２００７年、双葉社）、『国立競技場の１００年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』（２０１３年、ミネルヴァ書房）、『森保ジャパン　世界で勝つための条件―日本代表監督論』（２０１９年、ＮＨＫ出版新書）など。