■スタジアムのテンションは高かった
試合前、スタジアムのコンコースの柱には張り紙があった。『新選手チャント』と書かれたそれには、常本佳吾や関川郁万ら、この日初めて鹿島サポーターから個別のチャントを歌ってもらえる選手の歌詞が書かれていた。
コロナ禍の影響を受け続けて3シーズン目。2年以上に渡り、無観客試合、5000人(もしくは50%)制限、リモート応援、拍手のみの応援、とサポーターは我慢と協力を続けてきた。そしてようやく今年の5月17日、まだ試験段階とはいえ、ようやくスタジアムに声が戻ってくることがJリーグから発表された。初戦に選ばれたのはルヴァンカップのカシマサッカースタジアムだ。
![](/mwimgs/2/b/620wm/img_2be89da81750229f188ba5ea039bbe4b225649.jpg)
席間隔が再び広がったり、不織布マスクの着用のみならず飲食も制限(ソフトドリンクのみ可)されたりと条件がついているとはいえ、声と天秤にかければどちらが応援に重要かは明白だった。用意された声出し可能エリアのチケットは飛ぶように売れた。
当然、スタジアムのテンションはウォーミングアップ前から高かった。チーム名を言うだけでも、当たり前のように毎試合歌っていた定番のものを口にするだけでも、今やそれは特別なことだった。
10分も経たないうちに奈良竜樹と鈴木優磨が負傷交代を余儀なくされる、という両者にとってまさかの立ち上がりとなったものの、鹿島は鈴木に代わって久々の登場を果たしたエヴェラウドが幸先よくゴールを決めて34分にトータルスコアをタイにすることに成功。さらに40分には仲間隼人にもゴールが生まれ、逆転してみせた。