■左WG三笘との関係性も抜群
そして、伊藤がさらなる特徴を見せたのが“空中戦”だった。186センチ78キロという体格を誇る伊藤は、相手のロングボールもなんなく跳ね返し、そして21分には攻撃で魅せる。鎌田が蹴った右CKを相手ゴール中央で、高い打点のヘディングで合わせたのだ。残念ながら相手DFに阻まれてしまったものの、高い身体能力と怖さを感じさせるヘディングだった。伊藤は同25分の右CKでも相手ゴール前を支配。GKがボールを触れないニアサイドに飛び込み、あわや、というシーンを作ってみせた。
左SBとして攻撃面での大きな貢献ができたワケ。それは左WGの三笘との関係性が非常に良かったことも大きいだろう。27分には、ペナルティーエリア左でボールを持つ三苫の外側を追い越すフリーランをし、三笘にシュートチャンスを“アシスト”。33分にも右サイドの堂安から三笘にミドルパスが供給されるや否や、今度は三笘がいる内側のレーンを疾走し、タテパスをもらいチャンスを作ってみせた。
そして35分、伊藤の高性能な左足が再び輝きを見せる。自軍左サイド深くから、トップの浅野へ速くて正確なロングパスが放たれる。浅野の胸でのパスを受けた原口がドリブルで少し前進し、その間に相手DFの裏に抜け出した浅野へタテパス。GKと1対1になった浅野が見事にゴールに流し込み、先制点を奪ったのだ。
左利きSBならではの左サイドでのスムーズなボール回しと正確なセンタリング。彼ならではの速く高精度のロングパスの技術。そして欧州の大型選手とも戦える高さ――前半に3つのストロングポイントを見せてくれた伊藤だが、後半は一転、守備面での4つ目のストロングを見せてくれた。それは、CBを務められるというポリバレント性だ。伊藤は後半、谷口彰悟とともにCBに入り、日本の守備を最後方で支える役割を担った。