■失点につながったミスを補って余りある活躍

 183センチの谷口と186センチの伊藤、フィジカル面にも優れた2人のCBコンビは安心感を感じさせるものだったが、課題がなかったわけではない。後半14分、伊藤のグラウンダーのタテパスが相手にカットされ、FWデルリス ゴンサレスにゴールを許してしまうこととなった。試合後に本人が「(相手に)読まれていた。CBがリスクを冒するべきではない」と語ったように、今日の彼にとっては痛恨のミスと言えるだろう。

 しかし、そこからは大きなミスはなく、試合を無事終わらせた伊藤。今回のパラグアイ戦で見せた、「左利きの強み、高精度のロングパス、186センチの高さ、CBを務められるポリバレント性」という4つのストロングポイントは、サッカー日本代表のレギュラーサイドバックの長友佑都は持ち合わせていない部分だろう。

 だが、今回のことで伊藤が長友を上回ったということでは決してない。試合後、日本代表でのポジション争い、カタールワールドカップメンバー入りについて伊藤自身が「まだまだ」と語ったように、長友が持つ、インテンシティの高いディフェンス、上下動し続けられる豊富な運動量、チームメイトを鼓舞し、チームを勝利に向かって牽引するメンタル面などは特別なものだ。

 しかし今回、背番号26の若き大型DFが見せた力強いプレーは、森保一監督の頭に深く刻まれたはずだ。11月のカタールワールドカップに向けて、サッカー日本代表内の競争は一気に激しさを増してきた――。

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