■選手の見極めは「いましかできない」

 今回のテストマッチでは、チームの強化と選手の見極めを同時進行したい。とりわけ選手の見極めについては、先送りができない。9月の2試合は仮想ドイツ、仮想スペインの相手との、本番を想定したメンバーでの戦いとなるからだ。テストをするならいましかないのである。

 それだけに、チームの主戦術となっている4-3-3をベースに、コンビネーションやオートマティベーションを磨いていくのだ。並行して、最終予選で出場機会の少なかった選手、久しぶりに招集される選手、初招集の選手をチームに組み込み、その選手を含めた機能性をチェックしていくのだ。これまでと違う選手を組み込む際には、4-3-3からのシステム変更も視野に入るだろう。

 最終ラインでは、伊藤洋輝が初招集された。シュトゥットガルトでブレイクした23歳は、186センチの高さとフィジカルの強さに加え、左足のフィードに定評がある。左CBの冨安健洋がコンディションに不安を抱えていることを踏まえると、伊藤がテストされる可能性は高い。

 伊藤のCB起用に目途が立てば、アーセナルでもそのポジションを担う冨安を右SBで使うオプションを取ることもできる。あるいは、守備的な戦いを前提として、4バックの左サイドに伊藤を置くことを考えてもいい。左から伊藤、冨安、吉田、酒井と並べば、フィジカルで世界に見劣りしないDFラインが形成できる。

 右SBでは、酒井宏樹が戦線離脱中だ。今回は山根視来に加えて、菅原由勢が招集された。

 オランダ・エールディビジのAZアルクマールで、菅原はシーズンを通して稼働した。スピード豊かな突破力を強みとする21歳は、酒井や山根とはまた違うエッセンスを攻撃に加えることができる。2020年10月のカメルーン戦以来の出場機会を与えていい。

 菅原はポリバレントでもある。CBやウイングにも対応する。W杯がこれまでどおり23人の登録でも、コロナ禍で登録人数が拡大されても、彼のようなタイプは貴重だ。彼がチームにフィットすれば、戦術的柔軟性が高まる。

【その(2)へ】
(2)へ続く
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