■6月シリーズが仮想ドイツ、仮想スペインにならない理由
6月シリーズへ挑む日本代表のメンバーが、5月20日に発表された。
カタールW杯アジア最終予選突破後初の活動となるが、強化はすでに「最終段階」へ突入している。今回の6月シリーズを経て9月の2試合を終えたら、11月の本番が待っている。
森保一監督が28人を招集した6月シリーズでは、2日にパラグアイ、6日にブラジル、10日にガーナ、14日にチリまたはチュニジアと対戦する。南米予選を首位通過したブラジル戦が注目を集めるが、W杯のグループステージでは南米勢と対戦しない(グループステージの対戦相手はドイツ、コスタリカとニュージーランドの勝者、スペイン)。ノックアウトステージへ勝ち上がっても、ラウンド16ではクロアチアかベルギーとの対戦が濃厚だ。
仮想ドイツ、仮想スペインのマッチメイクが求められるなかで、ブラジルを含めた南米3か国と対戦するのは、同時期にUEFAネーションズリーグが開催されるからだ。欧州各国は同地域での真剣勝負を消化するため、試合日程にすき間のある国でも日本へ呼ぶのは難しい。
大陸間プレーオフをコスタリカが突破するとの前提で、北中米カリブ海地区の国を招くという考えもあっただろう。しかし、こちらの地区でもロシアW杯後にネーションズリーグがスタートしている。
同じアジアからW杯に出場する韓国、サウジアラビア、イランも、南米勢を中心としたマッチメイクとなっている。日本だけが例外ではない。仮想ドイツ、仮想スペインの相手を呼ぶことはできなかったが、ブラジルは世界のトップ・オトップだ。ガーナとチュニジアもW杯出場を決めており、彼らにとっても日本戦は貴重な機会に違いない。与えられた条件のなかで、強化につながるテストマッチを組むことができたと言えるだろう。