■プレースタイルの転換

 つまり、FC東京は奪ったら素早く前線にボールを供給してスピードを生かして、“個の力”で打開するというサッカーを実践して、ある程度の成功を収めていたのだ。そのチームを、方向性が異なるポゼッション志向のサッカーに切り替えていこうというのだから、時間がかかるのは当然のことであろう。

 しかも、FC東京の場合、FCバルセロナでアカデミーを担当した経験を持つ新監督を招聘して新しいスタイルに挑戦することになったのだが、戦力的には長谷川監督時代とほとんど変わっていないのだ。

 2022年シーズンにFC東京に加わった新戦力としてはGKのヤクブ・スウォビィクがおり、これまでの試合でも決定的なピンチで素晴らしいセービングを見せて何度もチームの危機を救っている。また、最終ラインのエンリケ・トレヴィザンもCBとして貴重な戦力となっている。

 だが、中盤から前線にかけては“個の力”を前面に戦っていた長谷川監督時代とほとんど同じ顔ぶれなのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3