近年のJリーグでは、スペイン人監督が増えている。J1のビッグクラブであるFC東京と浦和レッズも、今季はスペイン人監督に率いられているが、その手法はまったく別なものである。2人のチームづくりをサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■「新潟でも1年目は苦しんだ」
最近は「新しいプロジェクトはまだ始まったばかりであり、苦しい試合が多いのも当然。だが、サッカーの内容としては成長している」というのがアルベル・プッチ監督の口癖のようになっている。そしてサガン鳥栖戦の後には「2年間指揮を執ったアルビレックス新潟でも、1年目は苦しんだ」とも語っている。
新しく就任したFC東京で監督が考えているようなチームを作り、結果を出すに至るには時間が必要だ。それまでは(つまり、来年までは)、忍耐強く見守ってほしいというのである。
たしかに、その通りだろう。
昨年までのFC東京は、2018年に就任した長谷川健太監督の下、このクラブの伝統である守備力をベースに前線のブラジル人FWや永井謙佑の“個の力”によって打開していくサッカーを実践していた。2019年にはリーグ戦で2位に入り、2020年にもリーグ戦が6位でJリーグ・YBCルヴァンカップで優勝したが、いずれのシーズンも永井謙佑やD・オリヴェイラが好調だったことが上位進出を可能にした(2019年前半までは久保建英も在籍)。