■ピッチ内に響いた「これを続けていけば大丈夫」
2点差を追いかける展開となった大宮だが、前半からボールを動かすことはできていた。群馬の守備ブロックの外側を循環する時間は長かったものの、前半終了間際には相手ゴールへ迫ることができていた。
果たして、後半は開始早々から敵陣でゲームを進めていく。守備ブロックの内側へパスを差し込めなくても、大宮の選手たちに焦りはない。2試合ぶりの先発となった矢島慎也は、「前半から意図的にまわすことができていた。これを続けていけば大丈夫という声が、ピッチ内で聞こえていた」と言う。4-1-2-3のシステムでインサイドハーフを務めてきた背番号19は、4-4-2で戦ったこの日はセントラルMFを任され、ボールに数多く触って攻略の糸口を探っていた。
57分の1点目は、その矢島のパスが起点となった。ペナルティエリア右奥へのパスを武田英寿が頭で落とし、河田篤秀がワンタッチでゴール前へ通す。GKとDFラインの間へ入り込んだ菊地俊介が、左足で抜け目なくプッシュした。菊地は今シーズン初スタメンで初ゴールだ。
スタジアムの空気が変わった。ファン・サポーターの絶え間ない拍手が、追いかける者の勢いを加速させていく。両CBも敵陣に入ったポゼッションで右CKを獲得すると、西村慧祐がゾーンディフェンスの外側からヘディングでゴール左スミを射止める。62分、同点に追いついた。背番号24を着けるCBも、今シーズン初得点だ。