ただし11月からは後半の半ば、60分をめどに長友から中山への交代を行い。中山はあるときにはいきなりアシストのパスを送り、またあるときには守備で強さを発揮して、見事な「クローザー」ぶりを発揮した。従来の3人交代制なら、試合の半ばで守備の選手を代えるというプランは成り立たなかった。しかしコロナ禍で選手交代が5人までできるルールが適用されたことで、DFの戦術的な交代という、これまでにないスタイルが生まれたのだ。

■森保監督の原口への新たな期待

 原口元気も重要な選手である。彼は南野拓実を欠いた9月のオマーン戦で左MFとして先発出場したものの、まったく突破ができないまま、ハーフタイムに古橋亨梧と交代、以後は先発はない。しかし残りの7試合中6試合で交代出場。その相手は、左MFの古橋や南野だけでなく、インサイドMFの守田英正やFW大迫勇也に代わってインサイドMFにはいることもあった。そしてどの試合でも、原口は彼らしい強度の高いプレーを見せ、森保一監督の狙いを着実に実行した。

 私は、この最終予選が進むうちに昨年の東京オリンピックに出場した選手たちが台頭してポジションをとり、最終的にはかなり切り替えが進んでいると期待していた。しかし「毎試合が決勝戦」という状況になったこともあり、「4-3-3」システムにしたことで田中碧がポジションをつかんだことぐらいの変化しか生まれなかった。DFラインの中山、板倉滉、そしてもしかしたら旗手玲央、MFの堂安律久保建英、FWの前田大然上田綺世、そして三笘薫などのうち、3人か4人がポジションを確保しても不思議はなかったと思うのだが、この状況では仕方がなかったのかもしれない。

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