■CBは4人のうち3人がJ2の選手
FC東京から山形に期限付き移籍中の木村は、186センチのサイズを持つCBだ。今回招集されたフィールドプレーヤーでは最長身だ。
昨シーズンは京都サンガF.C.とSC相模原に育成型期限付き移籍した。J1昇格を果たす京都では1試合に途中出場しただけだったが、7月に加入した相模原では3バックの一角を託された。チームはJ3へ降格したものの、彼自身は17試合に出場した。各年代の代表に招集されてきたCBは、J2で揉まれることでパリ五輪への競争に加わっているのだ。
山形では4バックの左CBを定位置とし、開幕から4節までフルタイム出場している。攻撃の局面では後方からのビルドアップをコンセプトとするピーター・クラモフスキー監督のもとで、最終ラインから長短のパスを出し入れする。長身を生かした空中戦がストロングポイントで、セットプレーでも存在感を発揮する。
その木村とCBのポジションを争うのが、東京Vの馬場だ。
東京Vの下部組織出身で、プロ1年目の20年は3試合、21年は13試合に出場し、今シーズンは開幕から5試合連続でフルタイム出場中だ。2節からは大卒1年目の谷口栄斗とCBのコンビを組み、リーダーシップも発揮している。
CBにもボールを動かすセンスが求められる東京Vで、馬場は相手の立ち位置を見ながら効果的にパスを配球している。相手の攻撃を跳ね返す力もあり、守備の局面でのプレーは力強い。
東京Vの下部組織出身のDFでは、畠中槙之輔が横浜F・マリノスへステップアップした。このままプレータイムを伸ばしていけば、馬場にも様々な可能性が広がっていくだろう。
同じくCBの鈴木海音は、木村、馬場の一学年下の19歳だ。
ジュビロ磐田の下部組織育ちの彼は、20年に磐田のトップチームデビューを飾り、リーグ戦6試合に出場した。ところが、21年はJ2優勝を勝ち取ったチームで1試合もピッチに立てなかった。J1へ戦いのステージを移したチームを離れ、鈴木はJ2の栃木へ育成型期限付き移籍した。
時崎悠監督が指揮する栃木は、3-4-2-1のシステムを採用している。鈴木は3バックの右CBを任され、5節まで全試合にフルタイム出場している。
昨夏の東京五輪では、トレーニングパートナーのひとりとして大会直前のチームに帯同した。「五輪」の空気感をひと足先に体感したのは、パリを目ざすモチベーションを逞しくしたはずだ。
今回の招集メンバーでは、日本代表にも招集された西尾隆矢(セレッソ大阪)がCBに選ばれている。木村、馬場、鈴木の3人は、西尾のパートナーを争う立場から大岩監督にアピールしていくことになりそうだ。