■ベガルタは13年ぶりのJ2を戦う
11年の歳月は、ベガルタというチームを大きく変えた。
2011年はJ1で最高位の4位に食い込み、翌12年は最終盤までサンフレッチェ広島と優勝を争った。クラブ史上最高位を更新して2位となり、翌13年はAFCチャンピオンズリーグに出場した。
震災から立ち上がるチームを力強くけん引した手倉森誠監督は、13年限りでベガルタを去った。その後はグラハム・アーノルド監督を経て渡邉晋監督が6シーズンにわたり指揮を執り、20年は木山隆之監督がチームを率いた。
新型コロナウイスの感染拡大によるレギュレーションの変更により、20年はJ1からJ2への降格はなくなった。しかし、木山監督は1年でベガルタを去る。18チーム中17位で終わったからだった。
ホームで1勝もできずなかったチームは、手倉森が引き継いだ。奇しくも震災から10年目の節目に、当時の指揮官が13年以来8シーズンぶりの復帰を果たしたのだ。注目と期待が集まったものの、チームは序盤から苦しむことになる。2試合を残してのJ2降格が決まり、手倉森監督は退任した。
09年以来13年ぶりにJ2を戦う今シーズンのベガルタは、J1昇格候補のひとつとして開幕を迎えた。降格チームの宿命として主力が流出したものの、19年と20年にサガン鳥栖でプレーした梁勇基が帰還した。鹿島アントラーズで勝者のメンタリティを身に着けた遠藤康がやってきた。J1とJ2から即戦力の日本人選手を迎え、かつてセレッソ大阪に在籍したレアンドロ・デサバトの加入も発表された。アルゼンチン人MFは外国人の新規入国規制で開幕に間に合わなかったが、合流すればチームの力になるのは間違いない。
保有戦力に不足はなく、チームを率いるのは原崎政人監督だ。昨シーズンの残り2試合を指揮した指揮官は、12年から15年までトップチームのコーチを任され、16年から17年は育成組織に関わった。21年は手倉森のもとでヘッドコーチを務めていた。チームの歴史と現況は把握できている。