【震災から11年目のベガルタ仙台】13年ぶりのJ2――いつもとは違う、特別な思いが折り重なった「3.12」いわて戦【戸塚啓のJ2のミカタ特別編】(1)の画像
梁勇基(仙台)   写真/中地拓也

■「いつもと違うざわめき」がユアスタを包む

 いつもとは違うざわめきが、ユアテックスタジアム仙台を包んでいた。試合前のスタジアム周辺には、複数のテレビクルーがファン・サポーターにマイクを向けていた。

 この日は3月12日である。2011年の東日本大震災から11年が過ぎ、震災が発生した3月11日ではなくとも、ベガルタが注目を集める。

 発災から10年目の節目だった昨年は、3月6日のホームゲームが震災を思い起こす一戦となった。11年当時のメンバーのビデオメッセージが、ハーフタイムに大型ビジョンに映し出された。当時のメンバーのひとりである太田吉彰さんと、対戦相手の川崎フロンターレOBの中村憲剛さんによるトークショーが、試合前に行なわれた。

 11年目の今年は、前年のようなイベントは行なわれなかった。だからといって、クラブとチームの熱量が低いわけではない。

 いつもとは違うざわめきが、試合前からユアスタを包んでいく。いわてグルージャ盛岡戦のキックオフ前には、黙とうが捧げられた。

 特別な思いが、折り重なっていった。

2022年3月12日、ユアテックスタジアム仙台  撮影/戸塚啓
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