この「制裁」は、ドーピング問題で国際オリンピック委員会(IOC)がロシアに科している懲罰と同程度。たちまち世界中から大きな批判を浴び、また、ワールドカップ予選などでロシアと対戦する予定のある国から「対戦拒否」の意向も示されて、24時間ももたずに変更された。ロシア代表もロシアのクラブも、すべての国際試合が資格停止となったのである。

■戦争とサッカーの関係

 「ソビエト連邦」時代、この国は、今回のウクライナ侵攻のようなことを何回も繰り返してきた。1956年のハンガリー動乱、1968年のチェコ事件、そして1979年からのアフガニスタン侵攻。10年にわたったアフガニスタンへの軍事介入がソ連体制の崩壊を生んだという反省もなく、今回ウラジミール・プーチン大統領が「力の行使」を決めたのは、狂気の沙汰としか思えない。

 サッカーは19世紀の半ばにイングランドで誕生し、世紀が変わるまでに世界中に広まっただけでなく、各国で国民的な関心事となった。そうして迎えた20世紀は、「サッカーの世紀」であると同時に、「戦争の世紀」でもあった。2つの世界大戦を含み、この100年間は世界のどこかで銃声が響き、大砲の弾がさく裂し、また空襲が行われ、ミサイルが飛び交っていた。当然、戦争にまつわるサッカーの話も枚挙にいとまがない。

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