大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第84回「戦争とサッカー」(1)戦場でいくつも生まれた「交流試合」の画像
「ワーナー・ホーム・ビデオ」が販売しているDVD版『勝利への脱出』。第二次世界大戦下のサッカーにまつわる物語だ

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「20世紀名物」について。

■前世紀の過ちを繰り返す愚かさ

 戦争である。19世紀や20世紀ならまだしも、この21世紀になってまさかと思われるようなことが起きた。ロシア軍がウクライナに侵攻、あっという間に首都キエフまで迫っている。両国の兵士だけでなく、たくさんのウクライナ国民が犠牲になり、ウクライナから脱出した難民もすでに170万人を超えているという。

 国際サッカー連盟(FIFA)はロシア軍の侵攻が始まってから5日目の2月28日に欧州サッカー連盟(UEFA)とともに声明を出し、ロシアへの制裁を発表した。

 「ロシア国内での国際試合は認めず、ロシア・チームのホームゲームはすべて中立国での無観客試合とする」

 「ロシアの代表チームは『ロシア代表』ではなく、『ロシアサッカー協会(RFU)チーム』とする」

 「ロシアのチームは国旗も国歌も使うことができない」

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