■様々な要因が絡み合っての「レッドカード大量発生」

 今回は3つの事象を取り上げたが、改めて9人の退場シーンを見返すと、そのほとんどは妥当な判定だったと言える。

 そもそも、J1では2021シーズンからVARが採用されており、主審の見えないところでのファウルもしっかりとチェックされるため、J2やJ3よりも退場者が増加する可能性があるということは、念頭に置いておきたい。もちろん、最初に提示されたレッドカードがイエローカードやノーカードなどに変わるパターンもあることは確かだ。

 また、球際の厳しさやインテンシティが高まっている昨今のJリーグでは、激しい接触の増加により、カードが昔よりも増えることは、ある程度仕方ないとも言える。

 さらに、先述したがJFAは「レフェリングスタンダード」という判定基準を設けている。今季のテーマとなっている「選手生命を脅かすようなプレー」に対してはさらに厳しくジャッジされるため、今回取り上げたファビアン・ゴンザレスや同チームのDF山本義道、そして浦和レッズMF岩尾憲の退場シーンのようなプレーにはカードが提示されることになる。

 20試合で9枚のレッドカードが出ているのは、確かに異常事態ではあるが、詳細にそれぞれのケースを確認すると、様々な要因が絡み合った結果だと思われる。いずれにしても、退場者がサッカーの魅力を削ぐことは間違いない。フィールドでは、フェアなプレーを心がけてほしい。

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