2022年のJリーグ開幕が迫ってきた。各チームは初戦に向けて仕上げに入っていこうとしている。
目標を達成するには、明確なゴールの設定と、そこに至る道筋の逆算が必要だ。開幕戦は確かに大事だが、リーグ戦の1試合に過ぎず、その後もチームの歩みを止めないことが肝要だ。
ぶれなく前進するために必要なJ1の各チームが追いかける「理想」と、そこにたどり着くための道のりを探る。
■ヨーロッパのビッグネームではなくとも
アンドレス・イニエスタを筆頭に、すでにクラブを後にしたものの、ルーカス・ポドルスキやトーマス・フェルマーレンといった世界的なビッグネームを獲得してきた。そのヴィッセル神戸が、次の段階へと進もうとしている。
ヨーロッパの代表クラスの選手を獲得したわけではない。だが、その陣容は十分に豪華だ。
このオフに加えた選手は、決して多くないが、チームを次のレベルへ進めるような補強である。最終ラインからは引退という形でフェルマーレンが抜けたが、槙野智章がやって来た。若き菊池流帆が成長著しいが、槙野はベルギー代表DFとはまた一味違う、Jリーグと日本をよく知るベテランだからこそ持つ要素をもたらしてくれるだろう。しかもフリーでの移籍とは、望外の喜びと言っていい。
扇原貴宏の左足の精度は、広く知られている。中盤から正確な長短のパスを自在にピッチの各所へと配する。細身に見えるが、攻撃参加すれば迫力も出す。セレッソ大阪でともに戦った山口蛍との再会は、本人たちにもチームにも心強いことだろう。
さらに中盤には汰木康也。三浦淳寛監督が「神戸にいなかった」と評するタイプのサイドアタッカーで、それだけでもすでに価値があるというものだ。