■最終予選の黒星発進は必然だった
2021年の日本代表を振り返るときに、森保一監督に触れないわけにはいかないだろう。9月開幕のカタールW杯アジア最終予選を戦っていくなかで、53歳の指揮官は間違いなく変わったからだ。
9月のオマーン戦で、森保監督はそれまで信頼を寄せてきた選手をスタメンに並べた。柴崎岳や原口元気だ。
柴崎は20年11月のメキシコ戦を最後に、日本代表でプレーしていなかった。その間に守田英正が台頭してきた。サンタクララへの移籍で成長速度を上げていった守田は、3月から6月の活動で遠藤航と絶妙な補完関係を見せていた。
ところが、コロナ禍の入国条件を満たせずに合流できなかった。CBとボランチに対応する板倉滉も、試合前日に負傷離脱してしまった。選択肢が限られていたのだが、守田と板倉が控えていても、森保監督は柴崎を先発に選んだに違いない。
その裏付けとなるのが、2列目左サイドのチョイスだ。
南野拓実がコンディションに不安を抱えるなかで、森保監督は堂安律でも久保建英でもなく原口元気をチョイスした。柴崎ともに結成当初からのメンバーであり、ロシアW杯の最終予選を経験している意味で、原口は東京五輪代表のふたりより序列が高かったのだろう。柴崎に関しても、守田や板倉より序列は上だったはずだ。