■前半30分過ぎにはトーンダウン

 その後も、浦和はリズムをつかんだまま良い形の攻撃を見せ続けた。右サイドからは何度もチャンスが生まれた。10分、酒井のフィードから始まって、最後は江坂のスルーパスに関根が反応した場面(CKとなる)などは見事なパスワークだった。一方、左サイドでは、最近の浦和の大きな武器である左サイドバック明本考浩の攻撃参加が機能した。タッチライン沿いのオーバーラップ、そして相手守備陣の間に生まれる微妙なスペースを鋭く衝いたインナーラップ。そして、それに伴って小泉がトップ下から右サイドまで顔を出して、攻撃に厚みを加える。

 先制ゴールを決めた江坂やトップのキャスパー・ユンカーが絡むシーンが少ないような印象はあったが、1点をリードした浦和がこのまま追加点を奪って勝負を決めてしまうかのような勢いだった。

 だが、時計の針が30分を回るころになって、浦和の攻撃に鋭さが欠け、逆に大分のポゼッションの時間が長くなってくる。

 大分の攻撃が浦和のゴールを脅かす場面はほとんどなかったものの、浦和の攻撃の迫力もなくなってしまった。

 もちろん、これは「結果がすべて」の決勝戦なのだ。1点をリードしたチームが慎重な戦い方をするのはある意味で当然の流れだ。いわゆる「決勝戦らしい試合」だったのである。

 だが、浦和が意図的にそういう試合を選択したようにも思えない。1点のリードを保って、そのまま何も起こさずにゲームを終える……。そんなことができるのは、かなり完成度の高いチームだけである。そして、そういう選択ができるのは後半に入ってからのことだろう。
 

(2)へ続く
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