2020年のJ1は川崎フロンターレが2シーズン連続で制した。独走になった格好だが、最終節の横浜F・マリノスとの対戦では来シーズンのさらなる活性化へのヒントが見えた。現在の国内最高峰のバトルから、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■幸せな気分に浸ってはいられない横浜FM
シーズン終盤で失速して川崎フロンターレの独走を許してしまった横浜F・マリノスだったが、最後の川崎戦でその攻撃サッカーの力を見せつけたことで、マリノス・サポーターも一定の満足感を持ってシーズンを終えることができただろうし、選手たちも良いイメージを持ってオフに張ることができる。
だが横浜FM関係者はいつまでも幸せな気分に浸っているわけにはいかないはずだ。これだけの試合ができたのは確かだが、それでもやはり川崎には勝てなかったのだから……。
今シーズンの川崎の強さは圧倒的だった。
38試合を終了して28勝8分2敗の勝点92。記録的な数字である。敗れた試合はシーズンを通じてたったの2試合。YBCルヴァンカップとACLは敗退したが、それぞれアウェーゴール・ルールとPK戦によるもので、試合自体には敗れていないのだ(川崎は、まだ天皇杯全日本選手権の準決勝と決勝を残しているが)。
川崎が敗れたのは8月25日の第26節のアビスパ福岡戦(0対1)と、優勝が決まった直後の11月7日の第35節のサガン鳥栖戦(1対3)のみだった。
福岡は今シーズン、過去最高の8位でJ1リーグの日程を終えたし、鳥栖も7位とどちらも大健闘したクラブであり、川崎相手の勝利はそれを象徴するような試合だった。だが、別の言い方をすると、川崎は2位の横浜FMから6位の浦和レッズまでの上位陣相手には1つも負けなかったということになる。