■チョウ監督の京都が12年ぶりにJ1昇格
紫の歓喜が弾けた。
残り2試合となった明治安田J2リーグ第41節で、京都サンガF.C.がJ1昇格を決めた。チョウ・キジェ監督率いるチームはジェフユナイテッド千葉とのアウェイゲームを0対0でまとめ、勝点1を上積みする。3位のヴァンフォーレ甲府もレノファ山口FCに1対0で勝利したが、京都と甲府の勝点差は「4」となり、チョウ監督と選手たちは最終節を待たずに空高く拳を突き上げたのだった。
熱血漢らしいハートフルな言葉を、試合後のチョウ監督はつむいだ。
「1月16日、僕の誕生日から練習は始まったんですけど、新しい戦術とか新しいやりかたに対して、いろいろ選手も思うところがあったと思います。ただ、それを真摯に受け止めて、今日いた選手もここに来られなかった選手も、全員で、自分たちの方向に向かってやっていこうということが今日の結果に出たと思う」
指揮官の言葉どおりである。今シーズンの京都はブレなかった。4-1-2-3のシステムで、攻守にアグレッシブな姿勢を打ち出した。相手より早く動き出し、ボール際で激しく戦い、ゴール前に飛び出していく。攻撃にも守備にも人数をかけ、それが連動するから目が離せない。
CBのヨルディ・バイスとCFのピーター・ウタカ、さらにはチョウ監督のサッカーを知る主将の松田天馬がチームの背骨となった。バイスとコンビを組んだ麻田将吾、左サイドバックの荻原拓也、アンカーの川崎颯太、ヤングキャプテンの福岡慎平らが、試合を重ねるごとに成長していった。
クラブ生え抜きの宮吉拓実は、12年シーズン以来の2ケタ得点をマークした。昨季は甲府に期限付き移籍し、ファジアーノ岡山から完全移籍した武田将平は、インサイドハーフの定位置をつかんでウタカに次ぐ8アシストを記録した。千葉戦のゴールマウスに立ったGK清水圭介は在籍7年目の33歳で、21歳の若原智哉の負傷離脱をカバーした。シーズン最終盤には、実績豊富な32歳のMF庄司悦大が試合を締める“クローザー”を担った。
若手も、中堅も、ベテランも、与えられた立場でチームの勝利のためにシーズンを駆け抜けた。一人ひとりが成長しながら勝点を重ね、引分けや敗戦もしっかりと糧にしながら、京都は成長の歩幅を広げていったのだ。