今年、日本で新たなプロ・リーグが開幕した。日本初の女子プロ・サッカー、「WEリーグ」である。
新リーグはすでにシーズン3分の1ほどを終えている。首位のINAC神戸レオネッサと強豪・三菱重工浦和レッズレディースの対戦から、WEリーグの魅力と課題が浮き上がってきた。
■INAC神戸が優勢になった理由
INAC神戸レオネッサは最終ラインと中盤の4人のラインとの距離感や左右のバランスの取り方なども巧みで、戦術的に非常に規律の取れたチームだった。I神戸は今シーズン開幕以来、6試合を戦って失点がゼロのままなのだ。その数字にも頷けるような素晴らしい組織的な守備だった。
そして、守備で三菱重工浦和レッズレディースの選手たちを捕まえたI神戸は時間の経過とともに、次第にチャンスを作り出すようになっていく。
3-4-1-2でウィングバックを置く形なので、当然、両サイドがキーとなる。左サイドに入ったのは、高倉麻子前日本代表監督も日本代表のサイドハーフで起用することが多くなった杉田妃和。本来セントラルMFだった選手だけに、サイドで起点を作って攻撃を組み立てるのがうまい。一方、右のウィングバックは守屋都弥で、こちらは縦への推進力を武器とする選手だ。
30分には、左で杉田と中島がパス交換してハーフラインを越えたあたりから、杉田が前線の田中美南を走らせたが、浦和LのGKの池田咲紀子が飛び出してクリア。32分には右の守屋から田中につながり、田中のサイドチェンジに左の杉田が合わせたが、これは力なくゴールに向かっただけだった。