■交代選手が2得点を生む
その流れは、後半に入っても大きくは変わらない。前半に比べればボール保持やチャンスクリエイトの部分で改善が見られたが、ゴールを奪うには迫力が足りなかった。そんな状況でスコアを動かしたのは鹿島だった。61分、右サイドからDF安西幸輝が強引にクロスを上げると、そこに入り込んだのがMFファン・アラーノだった。背番号7番が頭で地面にたたきつけたボールは、GKチョン・ソンリョンの上を抜けてゴールに吸い込まれた。鹿島サポーターのボルテージは一気に高まり、川崎の白星は遠のいたかに思われた。
流れを変えたのは、1点ビハインドの状況での交代カードだ。67分、鬼木達監督が3枚替えを敢行。登里享平、ジョアン・シミッチ、マルシーニョの3人を下げて、脇坂泰斗、小林悠、宮城天を投入する。さらに、78分に知念慶を、82分には山村和也をピッチに送り込む。そして、山村が投入されたのと同時に行われたフリーキックで同点に追いつくことに成功する。キッカーは脇坂、合わせたのは山村。どちらも交代で入った選手で、山村に至ってはファーストタッチがゴールとなったのだ。
そして劇的な逆転弾も途中出場の選手が決める。94分、宮城天が右サイド寄りでボールを受けると、ペナルティエリアの外にもかかわらず右足を振り抜く。ボールは回転せずに独特の軌道を描くと、鹿島GK沖の伸ばす手も虚しく、ゴールネットに豪快に突き刺さったのだ。