■韓国から学ぶべきこと
韓国チームの方は、そのあたりは臨機応変に戦うことができていた。たとえば、その原口と藤田へのプレスのかけ方がそうだ。
前半の立ち上がりの浦項の中盤は申光勳をアンカーにして申嗔浩とマリオ・クヴェシッチが2列目の4-3-3が基本で、もしくは2人の申がボランチでクヴェシッチをトップ下に上げる4-2-3-1も併用していたが、1点を先制した直後あたりからクヴェシッチと申嗔浩が前目に位置して原口、藤田との間合を詰めてボールを奪いに来たのだ。
試合前にそうしたやり方もオプションとして持っていたのかもしれないし、あるいは試合の流れを見て急遽判断したのかもしれない。だが、いずれにしても彼らは試合の途中で相手の弱点を見て、戦い方を変えたのである。
ACLのラウンド16では日本勢は不本意な結果に終わった。
だが、決勝トーナメントの初戦で苦戦するのはACLだけではない。たとえば、ロシア・ワールドカップの決勝トーナメント初戦(ラウンド16)ではベルギーに2点を先行しながら逆転されたし、日本代表が出場する多くの大会(男女各カテゴリーのワールドカップを含む)でも、決勝トーナメント1回戦は鬼門となっている。
また、事前に準備した戦術が機能しないときに、すぐにシステムやコンセプトを変更して対処することも、日本のチームは苦手としている。先日の東京オリンピックでも、グループステージでは快進撃を続けていたU―24日本代表だったが、決勝トーナメントに入ると苦しい戦いが続き、相手に合わせて、あるいは試合の流れに合わせてシステムや戦術を変更することが最後までできなかった。
良い内容の試合をすればいいリーグ戦形式の戦いでは強い日本も、一発勝負となるノックアウト・ステージでは立ち上がりから相手を圧倒することもできないし、また、試合の途中でも進め方をどんどん変えていくこともできないのが弱みとなってしまう……。
韓国のサッカーは、そのあたりが日本よりうまい。
韓国勢が3チーム残り、日本はわずかに1チームとなった2021年のACLの戦いだったが、実は日本サッカー界全体の問題にもつながっていたようである。いずれにせよ、唯一残った名古屋には今後はアウェー続きとなるはずだが、ぜひとも頂点を狙って頑張ってもらいたいものである。