■苦戦の原因は試合への入り方

 ラウンド16での日韓対決は、最初にも書いたように1勝1分1敗だった。そして、グループステージでの日韓対決はガンバ大阪が全北現代に敗れただけで3勝2分1敗と日本側が勝ち越していた。

 しかし、肝心のノックアウト・ステージに入ると、準々決勝進出を決めたのは韓国の方が多かったのだ。力は互角(あるいはそれ以上のはず)なのに、何故勝ち抜けないのだろうか?

 一つの原因は、ゲームの入り方の拙さなのではないだろうか。

 名古屋は楽に勝てるゲームだったのに、前半のうちに守備が乱れて2失点してしまったし、C大阪は前半はあらゆる局面で劣勢に立ち、一方的に攻め込まれてしまう(もし、乾がいなかったら、さらに押し込まれたことだろう)。

 前半のキックオフとともに相手を圧倒して、早い時間帯に先制することができれば、主導権を持ってゲームを進めることができる。ところが、日本チームは「大事に入る」と言えば聞こえはいいが、相手の積極的なサッカーに対して受けに入ることが多くなってしまうのだ。

 そして、試合の途中でゲームのやり方を変化させることが下手なことも指摘できるだろう。

 C大阪は、後半に入ると見違えるような攻撃的な姿勢を見せて猛攻をかけた。両サイドバックが高い位置を取ったことが最大の変化だったし、前半インターセプトを狙われていた原口と藤田のところを修正して、藤田が最終ラインに落ちることで落ち着いてボール回しを行うこともできた。

 後半に入ってやり方を変えて主導権を取り戻したのだから「見事」と言っていいのかもしれない。だが、それなら、「前半のうちに、ハーフタイムを待たずに試合のやり方を修正することは出来なかったのか」という疑問が生じる。

 たとえば、インターセプトを狙われていた藤田は、自分の判断、あるいはべンチの指示で、ポジションを変えることができなかったのだろうか? あるいは、ボランチへ出すパスのパス・スピードをもっと速くすることだってできたはずだ。

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