■狙われたボランチと後半の逆襲策

 C大阪は、ボールを奪ってからも変化がなかった。そのため、浦項にとってはC大阪の攻め手を読むことができるようになってしまった。C大阪のMF4人のラインにもプレッシャーをかけてきたのだ。

 そして、C大阪がボールを奪ってから必ずと言っていいほど低い位置にいるボランチ(原川力藤田直之)にパスを付けるので、浦項は途中からMFを完全に逆三角形にしてマルコ・クヴェシッチと申嗔浩の2枚で原口と藤田に圧力をかけてきた。この結果、C大阪は危険な位置で何度もパスカットを狙われ、34分には鳥海晃司から藤田へのパスを申嗔浩にカットされ、一気にゴール前まで迫られるピンチも生まれた。

 相手のボランチに対するマークをどうやってはがすかが、大きなテーマのはずだったが、前半のうちはとくに何かを工夫したようには見えなかった。

 C大阪は25分にCKからつながれて、1トップの李勝模(イスンモ)に決められて先制されたが、前半だけを見ていたら「1点ですんで良かった」としか言いようがない展開だった。C大阪の攻め手は、ボールがたまたま乾貴士に行った時に彼のアイデアとテクニックを生かした攻撃が見られるくらいだった。

 ところが、後半に入ると形勢は逆転C大阪が攻め続ける展開となった。

 狙われていたボランチ2人のうち藤田が下がってDFラインの間に入り、両サイドバックが高い位置に進出。とくに左サイドの丸橋祐輔はインナーラップをしかけて、バイタルエリアや相手ペナルティーエリア内まで積極的に進出し、右サイドの松田は主にタッチラインに沿ったオーバーラップを仕掛け、浦項の守備を混乱させた。

 そして、完全に相手を押しこんだ後、大久保嘉人や若い西川潤など点が取れる選手を次々と投入したものの、アディショナルタイム3分も含めて最後まで得点は生まれず、前半の1点を守り切った浦港が競り勝つことになった。

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