■「なでしこ」ブームが衰退してしまった

 2011年のブームは、女子サッカーというものがあるという認識をステップアップさせるチャンスになった。ウズベキスタンで開催予定だった2012年のU-20女子ワールドカップが日本開催に変わったこともそれを後押しした。

 全日本女子サッカー選手権大会は2012年の第34回大会から皇后杯が下賜され、皇后杯全日本女子サッカー選手権大会として決勝戦を単独開催に切り替えた。

 なでしこリーグは2013年シーズンから全試合を有料試合とした。財政面の話だけではなかった。有料試合にすると試合開催にかかる経費が増え、少ない入場者数では無料試合よりも苦しくなってしまう場合も想定されたが、1つのコンテンツとしてしっかりしているものになるための取り組みだった。

 おまけで見られるもの、無料で見るのが当たり前のもの、という立ち位置からステップアップしようとしていた。

 しかし、その後はご存じの通り。次第に関心は下がり、2015年の皇后杯決勝で澤が引退すると同時に1つの時代が終わってしまった。

 昨年のなでしこリーグで優勝したのが浦和レッズレディースであることを知っている人がどれだけいるだろうか。女子サッカーというものがある、という認識は定着したが、なでしこジャパンが五輪とワールドカップに出ている時だけ少し注目され、そこで結果が出なければそれで終わり、という元に近い形になってしまっている。

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