■アディショナルタイムを無駄にしない意識
流れが変わりかけた矢先の36分だった。エリア手前でボールを受けたマルコス・ジュニオールは、小気味良いタッチからミドルシュート。これが前田に当たるような格好となり、軌道が変わったシュートが同点ゴールとなった。
背番号10はその5分後にも決定的な仕事をする。右へと流れて送ったクロスはゴール前のレオ・セアラにピタリと合ったが、ヘディングはわずかに枠を外れた。
同点で入った前半アディショナルタイムでも、マルコス・ジュニオールは無駄に時間を過ごす様子を見せなかった。左サイドを縦に突き、CKを奪ったのだ。このCKを自ら蹴り、實藤の逆転ゴールを導いた。わずか10分間での逆転劇は、マルコス・ジュニオールが魔法をかけたものだった。
その實藤のシュートも、確かに見事だった。だが、このCBはヒーローではなく敗因のひとつになる可能性もあった。