■GKからシュートまで10秒の速さ

「マリノスさんがボールを持ち、われわれが速く攻めるのを狙うという形」

 これは相馬監督が鹿島戦を総括した表現だが、この展開は想定内だった。だからこそ、序盤から鹿島の選手たちはあえてシンプルな選択肢を選ぶ場面が多かった。ボールを奪えば、最前線で待ち構える上田に対してロングボールを送り込んだのだ。マリノスが横幅を意識しながらゴールを狙ったのに対し、鹿島は縦への速さで仕留めようとしたのだ。

 その作戦を結果に結びつけたのはアウェイチームのほうだった。

 右サイドにいた上田目掛けて、GK沖がゴールキックを送る。上田が競ったもののそのまま流れたボールを回収したのは土居聖真。その土居がサイドを持ちあがってゴール前にクロスを送る。ボールは、マリノスのセンターバックの間に走り込んだ荒木に呼び寄せられるような軌道を描くと、13番の頭を経由してゴールネットを揺らしたのだ。ゴールキックからシュートまでわずか10秒。思い描いた通りの攻撃だった。

 30分に奪った追加点も、縦に早い攻撃によるものだった。マリノスが鹿島のペナルティエリア内とその近くに7人もの人数をかけて攻撃を仕掛けた場面が起点だ。MF三竿健斗がボールを奪うと、MFディエゴ・ピトゥカに素早くパス。ピトゥカは、マリノスの守備人数がすくないと見るやそのまま持ち上がる。マルコス・ジュニオールの寄せの甘さも手伝って、スピードに乗って右サイドをドリブルした。

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