もう、リオネル・メッシはいない。
バルセロナの、メッシ不在のシーズンが始まった。バルセロニスタの失望と喪失感は相当なものだろう。それでも、ロナルド・クーマン監督はチームを立て直さなければならない。
「ポスト・メッシ」時代は突如として訪れた。その環境で、バルセロナはどのようなプレーを披露するのだろうか。開幕からの2試合で、ヒントのようなものは見えてきた。重要になるのは、プレッシングと組織的な守備の構築だ。
メッシがいる場合、どうしても彼の守備負担を考慮してチームをつくらなければならない。元々、メッシはそれほど走れる選手ではない。一方で、攻撃時には圧倒的な能力で一瞬にして試合を決めてしまう。そのジレンマに、歴代のバルサ指揮官は悩まされてきた。
メッシの“前残り問題”は、バルセロナの大きな課題だった。そのメッシが不在となり、フィールドプレーヤーの10人全員がハードワークをするようになった。その点は近年、欧州の頂点に立ったリバプール(ユルゲン・クロップ監督)、バイエルン・ミュンヘン(ハンジ・フリック前監督)、チェルシー(トーマス・トゥヘル監督)の共通項でもあった。つまり、欧州のフットボールシーンの戦術トレンドだった。