【ラ・リーガ分析】敵将が称賛した今季のバルセロナの組織的プレー【「ポスト・メッシ」時代の光と影。新生バルサの輪郭とクーマンが抱える課題】(1)の画像
バルセロナは「ポスト・メッシ」の時代に入った 写真:原悦生

 もう、リオネル・メッシはいない。
 バルセロナの、メッシ不在のシーズンが始まった。バルセロニスタの失望と喪失感は相当なものだろう。それでも、ロナルド・クーマン監督はチームを立て直さなければならない。

「ポスト・メッシ」時代は突如として訪れた。その環境で、バルセロナはどのようなプレーを披露するのだろうか。開幕からの2試合で、ヒントのようなものは見えてきた。重要になるのは、プレッシングと組織的な守備の構築だ。

 メッシがいる場合、どうしても彼の守備負担を考慮してチームをつくらなければならない。元々、メッシはそれほど走れる選手ではない。一方で、攻撃時には圧倒的な能力で一瞬にして試合を決めてしまう。そのジレンマに、歴代のバルサ指揮官は悩まされてきた。

 メッシの“前残り問題”は、バルセロナの大きな課題だった。そのメッシが不在となり、フィールドプレーヤーの10人全員がハードワークをするようになった。その点は近年、欧州の頂点に立ったリバプールユルゲン・クロップ監督)、バイエルン・ミュンヘンハンジ・フリック前監督)、チェルシートーマス・トゥヘル監督)の共通項でもあった。つまり、欧州のフットボールシーンの戦術トレンドだった。

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