■現実的な選択肢は中山の起用か
現実的なのは中山の起用だ。
東京五輪のパフォーマンスは評価を高めるもので、攻撃においても前線にうまく関わる場面が見られた。同サイドのCBの冨安健洋や、ダブルボランチの一角を担う遠藤航らと、コンビネーションを構築できているのも強みとなる。開幕から2節を終えたズヴォレではまだリーグ戦に出場していないが、実戦感覚への不安はないだろう。
右サイドバックの室屋成を左サイドへスライドするのも、選択肢のひとつになる。所属するハノーファーでは、開幕からリーグ戦に出場している。右サイドと左サイドでは景色が変わってくるが、プレーのレベルは保たれるはずだ。
左サイドバックの候補では、佐々木翔も選出されている。この31歳はチームの立ち上げから選ばれており、センターバックでもプレーできる。しかし、国際舞台でプレーするには率直に言って物足りない。
今回は選ばれていないが、代表入りを期待できるサイドバックはいる。
たとえば、湘南ベルマーレの杉岡大暉だ。19年のコパ・アメリカで日本代表デビューを飾ったこの22歳は、本来なら東京五輪でプレーしていたU―24世代である。20年に湘南から鹿島アントラーズへ移籍し、定位置をつかめなかったことで国際舞台から遠ざかったが、8月に湘南へ復帰してからは3試合連続でリーグ戦にフル出場している。
杉岡は左サイドの複数ポジションと複数のシステムに対応でき、馬力と突破力を兼ね備える。左利きの左サイドバックということも魅力だ。クラブで復調をアピールし、代表復帰を手繰り寄せてほしい選手である。
安西幸輝にも注目だ。今夏にポルティモネンセから鹿島へ復帰し、25日の清水エスパルス戦では出場4試合目で先発フル出場した。鹿島では右サイドバックで起用されているが、左サイドバックでも同レベルのクオリティを弾き出す。杉岡と同じように、トップフォームを取り戻せば候補にあがってくるはずだ。
もうひとり、酒井高徳も候補に加えたい。
ロシアW杯を最後に代表からの引退を表明しており、彼の意思は尊重されるべきだ。しかし、ヴィッセル神戸でのパフォーマンスは、代表復帰を打診したいと思わせる。
神戸では右サイドを担当しているが、ポリバレントな資質が高いのは周知の事実だ。復帰を働きかけ価値はある、と考える。